人形(パペット)を作ってみよう⑦周辺パーツ作り(2)
次は「後ろ足」と「耳」です。どちらも肌色のフェルトのみで作ります。各サイズは
図を参考に、ご自身で調整して下さい。どちらも細い方を丸めるようにして、穴に接着します。後ろ足は5本指なので接着後、4か所を切り開いて成形します。
最後は「しっぽ」です。丸めて筒状にしたフェルトで作ります。 前出の図では10×12になっていましたが、どちらでも大丈夫でしょう。
※出来ればフェルティングニードルで、アクリルや羊毛のフェルトをφ3mm×10mmの俵型に成形すれば、よりリアルなシッポが作れます。(100均でも道具、材料購入可)
各部品が完成したら、接着です。各穴に木工用ボンドをあふれない程度、注入します。
竹串や爪楊枝で、部品を少しずつ奥に押しこみます。前足は、ビーズが内側を向く様に調整を忘れずに。後ろ足や耳も、折りたたみ方や固定する向きに注意して作業します。
これで、ハムスターの形が出来ました、次は前足を操作するロッド(棒)です。今回は小振りな人形なので、φ3mm×300mmの竹ひごを半分に切って使います。端から3mm位の位置に、ヤスリなどで1周くぼみを作ります。操作時に人形より目立たないよう、黒く塗っておきます。(黒の油性マジック等でもよいのですが、本体と擦れて色が移らない様に、艶消しニスを上塗りするとよいでしょう。)
人形(パペット)をつくってみよう⑥周辺パーツ作り(1)
形は決まった。ハムスターの工作は、やっぱり目玉の飛び出し加減がポイントだ。
下地(アクリルジェッソ)を、底まで塗った。木彫りの質感は残すが、木目は消した。
地肌から体毛まで、段階的に彩色した。目玉は爪楊枝の先で磨き、絵の具や汚れを落として光らせた。
・・・と、ここまで来たら次は「前足」「後足」「耳」「シッポ」を作ります。
これらの内で言えば、「前足」が最も手間のかかる工作です。まずは完成品を見て頂きましょう。3mm径の白い紐40mm、薄いピンクのフェルト、白い3mm丸ビーズで2個(一対)作ります。
まず、紐の先端側面にビーズを縫いつけます。必ず「先端側面」です。ボタンを縫い付ける様に、首を縛って仕上げます。その後、前足用フェルト(5mm幅側)を、端から5mm程度つつむように巻き付け(ビーズは完全に露出させる)、白かフェルトに近い色の糸で、縫いあわせます。
最後は図のように、よく切れるハサミで指(4本)を切り開けば、前足の出来あがり。
もしフェルトが大きすぎた、と感じたら、ここで調整(端っこ切り捨て)します。
人形(パペット)を作ってみよう⑤細部の仕上げ
目玉が終われば、手足、耳、しっぽの入る「穴」をキリなどで開けます。3から5mmの
深さで良いでしょう。耳と後足はフェルトで作るので、穴も少し横長に仕上げます。
前足としっぽは3mm径の丸穴です。すべて開けたら、次は塗装にかかります。今回もアクリル絵の具を使いますが、木と密着し易いように「下地」として「ジェッソ」を、全面に塗りました。(ざらっとした白で、木肌の粗さもカバーしてくれます。)
※写真ではわかりづらいのですが、鼻の穴も再現しています。
色付けの順番は、①地肌のピンク②肌に近い白③外側の茶色や黒、と重ねていきます。ピンク以外は「毛」なので、細い筆で細かく書き込みます。③は薄い色から段階的に
黒に近づけます。底や、それぞれの穴の、少し内側なども忘れず塗りましょう。
人形(パペット)を作ってみよう④細かい削り加工
前回、ざっくりとした形状まで削りました。ここからは細部の加工です。
つまり、目、口、腹部の丸み、手足や耳の取り付け位置などを仕上げていきます。
ただし、顔や体型に表情をつけすぎるのは、おすすめしません。極端に笑った顔や、
誇張しすぎた体型などは、見る側のイメージを固定してしまうからです。
全体、左右、ブロックのバランスを見て削っては下書き、また削っての繰り返しです。
「一度に削り過ぎないこと」が大切です。今回は刃物の跡を残した仕上がりにする為、
サンドペーパーは使いません。
ハムスターの造形では、「目玉の飛び出し具合」が全体の印象を決めてしまいます。
こぼれ落ちそうで、しっかりこちらを見ている、そんな仕上がりを目指しましょう。
今回はオニキスの4mmビーズを、はめ込んでいます。鉛筆書きで位置を決め、水を塗って割れを防ぎつつ、U字型をした細身の彫刻刀で少しずつ穴を掘っていきます。
両方を浅く掘って位置が確定したら、片方を仕上げ位置まで彫りこみ、それに合わせて
もう一方を仕上げます。目玉をはめ、簡単に取れない程度のクリアランスを狙います。
両目の眼窩を加工したら、目玉を外して一晩乾かします。再度はめてみて納得出来れば
接着します。通常の木工ボンドに「木材の粉末」を1対1くらいで良く混ぜて眼窩に詰め、目玉をゆっくり押しこみます。はみ出た接着剤は、濡れた布などで拭き取ります。
「木材の粉末」とは、木をノコギリで切った際にでる粉や、金属やすりで木を削ったときの粉のこと。木工ボンドと混ぜることで、パテのような効果が生まれます。
人形(パペット)を作ってみよう③大まかに削ります
通常、角材からの削り出しでは、平らな面を正面とすることが多いのですが、題材の
ハムスターの形状(尖った口)に合わせて角を正面としました。
底から見ています。右上の角が正面となります。これなら、削る部分が少なくて済み、
材料を無駄なく生かせます。線の交差点が、6mm径の棒が入る穴の位置です。先に
四つ目きりで、深さ10mm位の穴を、出来るだけ垂直に開けておきます。
ここからは、小刀で削っては下書きを描き直し、の繰り返しです。
このとき、刃の薄いカッターナイフで削る事はおすすめしません。刃を垂直に当てて、
刃の先端で切るのがカッターナイフです。完全に用途が異なる「道具」と言えます。
今回の場合は小刀や切り出しなどの、刃の厚い道具が安全で適切です。
慌てず、少しずつ削って「大まかな形」を探っていきます 。手足や耳は、後から付けるので、胴体部分だけを削ればよいのです。
大きく削ろうとすれば、材料が「割れて」しまい、修正に手間がかかるだけです。
無理な力を入れず、薄く小さく削っていきましょう。
人形(パペット)を作ってみよう②ロッドパペット
まずは、シンプルなロッドパペットを作ります。
「リビングの机の隅で作れる」工作ですので、ぜひ試して下さい。
「何をモデルにするか」考えていたら、子供が「ハムスターを飼いたい」と、
言いだしました。私もかつて10年位飼っていました。
結局、世話が出来ないこと、身内にハムスターアレルギーの人がいることもあり、
断念したのですが、その代わりに「ハムスターのパペット」を作ることにしました。
今回、鼠っぽくしない様、ヒゲと前歯は省略しました。ほぼゴールデンハムスターの
実物大となっています。
今回の材料は以下の通り。
①30mm角材×80mm(これがあれば始められます。あとは順次、買い足しでOK。)
②9mmのラミン材丸棒(20cm)
③3mm径×300mm長さの竹ひご(1本)
④目玉用のオニキスビーズ(今回4mm玉2個)
⑤肌色のフェルト1枚(今回つかうのは、5cm四方程度)
⑥手芸用のひも(6mm、白。10cmあれば充分)
⑦白っぽいビーズ2個
⑧ビーズ用の細いゴムひも
道具、工具は
1、切り出しナイフ(刃の折れるカッターナイフは不向き、小刀などがおすすめ)
2、彫刻刀
3、アクリル絵の具(作るモデルによる。今回は白、ピンク、茶色)
4、針と糸
ハムスター以外でも、作りたいモデルが決まれば①と1、で始められます。
人形(パペット)を作ってみよう①分類
「人形」と聞いてイメージするのは、どんなものでしょう?
最近はフィギュアが一般化し、男女とも広義での人形を持っている人が増えました。
それは、特定のシーンの再現、キメポーズのまま飾っておくものですが、ここで
作るのは「自分で動かせる人形」です。例えばこの写真、10年以上前に作った
糸あやつり人形、いわゆるマリオネットです。実物はかなり小さく、手足のパーツが
軽すぎて操作しにくいという難物でした。しかも、糸が絡んだりして保管が面倒。
今回は、別の方式で作ってみます。
動かせる人形の分類
①ハンドパペット
袋状のボディーに手を入れて、口や手を動かすもの。片手で動かすものや、両手を使うものがあります。某英語番組のクッキーを食べるモンスターが、両手タイプです。
軟らかい「布」で作られるのが大半。広い意味なら、腹話術や獅子舞もこれですね。
手の動きを直接伝えられるので、表情豊かに操作できるのが特徴です。
②ハンド & ロッドパペット
上記のハンドパペットに、細い棒(針金)で操作する手足を付けたもの。
最近ではポイントカードのCMに出てくる、黄色い鳥の兄弟が有名。
他には公共放送に出ている、ネズミの衣装を着たネコもこれです。
操作は少し難しくなりますが、表情は豊かな方式と言えます。
素材は布や木が主で、口の開閉が間接的なリンク式か、ハンドパペットのような
直接式かで、性格が大きく異なります。文楽人形もこれに該当します。
③ロッドパペット
一般的には、下から伸びた棒の先にボディーと頭が、別の2本の棒の先には手がついて①②より細やかな動作を表現できるもの。ヒョウタン型の島の話に出てくるタイプ。
中国の影絵や、インドネシアの人形劇がルーツの様です。
細かい表情を出すため、口や瞼の開閉、眉毛の上下などのギミックを仕込んだものも。
変わったものでは、背中に直角に(後ろに向かって)付いた1本の棒のみで操作する
タイプもあります。
サイズは大きいのですが、長崎の蛇踊りもロッドパペットの一種です。
④マリオネット
いわゆる「あやつり人形」です。上から糸で吊った頭や手足を動かすもので、操作は
一気に難しくなります。人形の上空を常に空けておく必要があり、また表情を作る
ギミックを組み込めないため、「しぐさ」で感情を表現する難しさは最高ランクです。
元は頭の上から突き出た一本の棒で操作する単純なパペットが、多彩な表現を求めて
変化したそうです。
また例外的に、ひもを下から引いて操作する高山からくり人形も、この分類ですが
ギミック優先のため、操作の自由度は下がります。
⑤オートマタ
機械式のプログラムで一定の動作をする「自動人形」です。動力が手動でも、ゼンマイ
でも(水力や火力であっても)そう呼ぶ様です。(動力としてなら電気もアリかも)
日本では、からくり人形と呼ばれています。
例えばカムのリフト量や、位相の角度やギア比などで周期的な動きに「ストーリー」を
持たせているのですが、部品交換で、別の「ストーリー」を演じさせられるものも
あります。あくまで機械式の記憶(プログラム)であることが前提。
(電子部品のメモリーで動作するものは、ロボットです。)
今回は③、ロッドパペットを2点作ります。
まずは最もシンプルに、次はギミックを仕込んだものとなる予定です。