ここまでの振り返り(まとめ)
初めてご覧頂く方の為に、ここまでの内容を整理しておきます。
高価な電動工具が無くても、広い作業スペースが無くても、あまり予算が無くても、
近くに専門店や教室が無くても、誰もが作れる工作ブログ。
入手し易い材料と工具で、リビングのテーブルの片隅で、少ない出費で楽しめて、
読めば同じ以上に作れてしまう、そんなブログを目指しています。
さて、ここまで作ったモノは・・・
①憧れの名車、アルファロメオ2000gtAmのミニカー
やっぱりいいなぁ、アルファロメオ2000gtAm。
目いっぱい広げたオーバーフェンダー、歪(いびつ)だが格好良くでシンプルな構成。
ペットボトルのキャップをタイヤとして使うことが前提なので、ミニカーといいつつ、
プラモデルサイズになっています。ファルカタ材、竹ひご、段ボール、ストローなど
入手しやすい材料で出来ています。ぜひ、ご自分の憧れの1台を作って下さい。
②残った粘土で作った、カモノハシの赤ちゃん
カモノハシ、実物を見てみたいなぁ。日本では決して実物を見られない生き物だけど。
上記のアルファロメオを作った際に余った粘土を、有効活用しました。
卵から生まれて、まだ毛が生えそろわない頃をイメージしています。
さて次回からは、新しいテーマに取りかかります。
作るものは「人形」。飾るだけではなく、動かして遊べる、怖くない人形です。
お子さんやパートナーとの会話で、潤滑油になってくれる様なモノを目指します。
残った粘土をどうするか?④カモノハシ完成
細部の修正が終わり、かたちが決まれば次は「色付け」です。
表面の細かい粘土カスなどを払い、吹き飛ばしていよいよ開始。目玉は爪楊枝で
擦って粘土を払い、形を整えます。
写真などを参考に色を選び、白っぽい部分からアクリル絵の具を塗り始めます。
目玉は塗りません。石そのもののツヤを生かす為です。
色が付くと、一気にそれらしくなりますね。
おなかの真ん中あたりは、少し赤みのある色、脇腹は少し白っぽく、さらに脇には
パール系をあとから薄く足して「見る角度で印象が違う」感じを再現します。
背中は、あまり黒くならないよう、意識的に薄めにしてあります。
皮膚のたるみの隙間は、周囲より少し暗めの色をさして、立体感を狙いました。
アクリル絵の具だけでも、耐水性はありますが、表面の強度(硬さ)を上げるため
「ツヤあり水性ニス」を塗ります。これ自体、主成分がアクリルなので、絵の具の上に
安心して塗れます。ただし強くこすらない様に、何回かに分けて塗ります。
カモノハシの場合、シッポを持って体幹を塗り、乾くまでそのまま待ってシッポを
塗る、これを3回行いました。(ここでも目玉は塗りません。)
※「ツヤなしニス」もありますが、下地に「ツヤありニス」を塗った上に使うので、
両方買う事になります。※「ツヤなしニス」は、よく混ぜないとムラが出来ます。
面倒なら、水で薄めた「ツヤありニス」で、何度か薄く塗る方がお勧めです。
小さい割に、手間はかかりますが、愛着のわく工作になりました。
実際の大きさに合わせ、手のひらに収まるサイズです。
ああ、実物が見たい。赤ちゃんのぷよっとしたお腹を、触ってみたいものですね。
さて、いかがでしょう。残った粘土を無駄にせず、前作のミニカーとは全く毛色の
違う作品ができました。ご覧頂いた皆さんが、どんな作品を作られるのか、想像
するとワクワクします。完成したら是非、私に自慢して下さい。
残った粘土をどうするか?③
すると、こうなりました。
粘土が付くと、何となく生き物っぽい感じがしてきますね。
巻き付けた粘土を、じわりと均等に握って定着させます。この後、カモノハシの
特徴であるくちばしや、手足を付けていきます。
まず大雑把な形を作り、乾燥後の加工が必要な部分は、余分に粘土を付けて
おきます。1~2日乾燥させると、何箇所か「ひび割れ」が生じますが、指でその部分を
優しく押さえて隙間をつぶせば、改善できます。
石粉粘土の場合、細かい部分の造形は、乾燥してから彫刻等で削ってもよいのです。
上の写真でも、手足などはまだ、ざっくりとした塊にしてあります。
ほぼ乾いたら目の位置を決め、キリで穴を開けます。少し水を足して軟らかくした
粘土を詰め、目玉を押しこみます。多少、粘土がはみ出すくらいでOK。
ただし目玉周辺は、サンドペーパーが使いにくいので、半乾きのうちに修正します。
目玉には「オニキス」を使いました。動物人形の目としてはメジャーなもの。
石の専門店で何サイズかを買って、実物あわせで決定します。
手芸屋さんのビーズ細工コーナーでも購入できます。糸を通す穴が開いているので、
それが正面にならない様、注意して固定します。
細部を彫刻等などで削り出し、やり過ぎれば肉盛りして理想のかたちに仕上げます。
肉盛りしたい部分は、少し水で濡らしてから作業します。
残った粘土をどうするか?①
使い残した粘土をどうするか?早めに使い切ってしまうのがベストですが、
目先で使う予定がなければ「保存」します。
水で濡らしてラップで隙間なくぴっちり包み、さらにビニール袋に入れて
密封します。週1回程度、袋の上からつまんでみて、硬くなってきたら
再度、水で濡らし密封します。それでも硬くなってきたら、小さくちぎって
水で濡らしたり、塊のまま竹串などでたくさん穴を開けて濡らしてから、
密封します。
では、 「作る」なら何がいいでしょうか。
①もう1台、好きな車種を作ってみる。
・・・前回の実例は、ベース板の下に車軸がある為、少し腰高なフォルムになって
おり、これを「ベース板の上」に変更すれば、より実車に近いバランスとなります。
ベース板の上に、先に5mm角のトンネルを作って粘土を盛ればよいのですが、
タイヤホールのクリアランスは厳しくなります。少し広めにとりましょう。
②別のものを作ってみる。
・・・そう突き離して言われても、と困る方もいらっしゃるでしょう。
木材や針金でしっかりとした「芯」を作れば、そして粘土がずり落ちない
工夫さえできれば、何でも形にできます。例えば・・・
「飼ってみたい珍しい生き物」「商品化されていないキャラクター」とか
「子供のイラストの立体化」「懐かしい風景のジオラマ」とか、何でもいいのです。
今回は、最近ネットで見つけ、あまりの可愛さに感動した動物・・・
「カモノハシの赤ちゃん」 を作ってみます。オーストラリアに行かねば見られない、哺乳類なのにくちばしを持ち卵を産む希少な生き物。生まれて日の浅い
毛が生える前の、ぷよぷよした体型が可愛いのです。
では次の項から、手順を追って見て行きましょう。
残った粘土をどうするか?②
早速、作ってみましょう。完成までの手順を一通りイメージ出来てから、着手します。
ざっくりとデザインを描いて、ポーズや大きさを決め、完成品より少し小さめの
「芯」を作ります。今回は30mm角の杉を使い、手足には3mm径の竹ひごを、
(四つ目キリを使えば、ちょうど3mm位の穴が開きます。)木工ボンドを入れた穴に長いまま押しこみ、適当な長さにニッパーで切断します。
くれぐれも、粘土から「芯」が飛び出さない様、小さめ、短めにしておきます。
角材の表面を粗く削ったり、粘土が食いつく「切りこみ」を作りました。
さらに麻ひも(100均にて購入)をしっかり巻き付け、何箇所かボンドどめ。
まず、これらの隙間に粘土を押しこみ、段差を埋めていきます。
芯と粘土の間に空間が出来ると、ひび割れや陥没の原因となるので注意。
その後ぐるっと巻き付けた粘土を、均等に握りしめるようにして定着させます。
工作って(意外と)勉強にもなります。
夏休み期間をはさみ、このブログを見て頂く方も増えたようです。
「夏休みの宿題は、主要教科だけでも沢山あるのに、工作なんて時間が惜しい」と
不満に思う方もいらっしゃった事でしょう。
でもひょっとすると、工作に取り組んで興味をもった「何か」が、お子さんの
将来をより現実的で、夢があって、周囲より先んじたものにするかも知れません。
例えば今回の「ミニカー」でも同じ事が考えられます。
自動車そのものに興味を持つ可能性は当然ながら、パーツ個別の工程でもあり得ます。
①粘土ボディーとベース板の接合
・・・竹ひごを沢山打ち込んで「ずれ」を防止する、これは緩い地盤にビルや
マンションを建てる際に使われる工法とほぼ同じ。でも、大昔の掘立小屋でも
工法としてはほぼ同じ。
※硬い岩盤に届くまで、深く打つかどうかの違いはあります。
②車軸とペットボトルキャップ
・・・3mmの竹ひごを、4.5mmのストローに通し、5mm角のスペースに収める、
これはまさにベアリングそのもの。回転の真円度を段階的に高めています。
世界の電力消費の60%を占める産業用モーターも、同様の発想で効率を
高めています。また、タイヤであるキャップは一段高い「リブ」部分で
接地することにより「転がり抵抗」を減らす設計です。
③車軸用の冶具(厚紙)
・・・大層な工具がなくても、厚紙1枚で空中の垂直がわかる。これは数学の
「証明」的な発想あっての事。また、一般家庭で見る事が少なくなった
「屏風」に通ずるものがあり、歴史や和風建築への興味もそそります。
と、まあ一見こじ付けの様ですが、お子さん達が自主的に学ぼうとするきっかけに
なり得る、それが工作のいい所でしょう。きっと、このブログをご覧の大人の方にも
思い当たる節があるのでは?
あわてて無理に見つけなくてもいいのです。
次回から、次の課題にチャレンジして行きましょう。
夏休みの工作(ミニカー) 制作指導時の注意 2
お盆の帰省で、少し間隔が空いてしまいました。少し駆け足で説明します。
この工作で注意すべき点は、大きく4点です。
あくまで、子供たちの宿題なので、説明・指導の観点で書いています。
①ベース板と粘土の密着度はよいか?
木と粘土、異なるものどうしを外れにくくする工夫が必要です。
走行時など振動を受けやすい部分なので、作例のように多くの竹ひごを埋め込んだり、
上の図左端のように、木の切れっぱしをボンドで張り付けるのもありです。この時、
切れっぱしの下側を少し削って、「逆テーパー状」にすれば食いついて外れません。
それも面倒ならば、ベース板にラップをテープで固定し、粘土で造形、乾いたら
ラップを取り去り、板と粘土ボディーを木工ボンドでくっつけてしまう手もあります。
いずれの場合も、板からボディーがはみ出さないように。 この後の④にも影響します。
②車軸がタイヤ(ペットボトルキャップ)の中心近くを通っているか、垂直か?
作例の様に「冶具」を作るのは、少し難しいかもしれません。
ぴったり重ねた同サイズの段ボール丸板の中心を、竹ひごが貫通するので、
だいたい中心にはなるでしょう。固まりきる前の目測+転がしてのチェックで、
垂直に近づくよう修正してあげて下さい。
③底から見て、車軸どうしが平行か?
三角定規で、裏面に直接書き込みます。(5mm間隔で前後とも4本ずつ)
市販のファルカタ材は、面の反りはともかく、かなりまっすぐにカットされています。
低学年には、直角の概念から説明してあげると、勉強にもなるでしょう。
④タイヤと本体が干渉しないか?
上のイラストでは、車軸のストローの両端から各3mmほど離れた位置に、中心に穴の
空いた直径6~10mm程度の段ボール丸板として描いています。タイヤ(キャップ)が
直接ボディーと擦れて、大きな抵抗となることを避ける為です。作例の様に木で作る
より簡単です。位置を決めたら、少し木工ボンドを穴にさして固定します。
⑤工具、特にキリを注意深く使えるか?
タイヤ(キャップ)に詰める段ボールや、④のストッパーなどは、段ボールから
切り出す前に穴を開けましょう。本番の前に、段ボールの端っこや端材で練習させて
あげましょう。慌てず、垂直をキープしながら軽く押し付ける感覚を、つかんで
もらいましょう。難しいようなら、タイヤの穴開けだけは手伝ってあげて下さい。